今年度のプロジェクト

令和3年度は、「鹿児島における観光資源の創出に関する理論的・実践的研究」をテーマに、6名の所員による共同研究を行います。各所員が以下のサブテーマに関する研究を行い、提言を行っていきます。

プロジェクト代表 大西 智和
プロジェクトメンバー 大西 智和、丸山 政行、西 宏樹、茶屋道 拓哉、深田 忠徳、武藤 那賀子

 

鹿児島の文化財を活用した観光資源創出に関する研究

国際文化学部 教授
大西 智和
研究目的

 2019年4月には文化財保護法の一部を改正する法律が施行され、文化財の保護・保存から、観光への活用やインバウンドを重視する方向性が示された。もちろん、国民共有の資産である文化財を様々な形で活用することは必要なことではある。しかし、文化財(遺跡を含む)の活用には、文化財の保護が必須の条件となる。本研究では、そのような視点に基づいて、鹿児島を対象とし文化財の保護と活用を図った、持続可能な観光資源としての提案を目指す。
 また、日置市との包括連携協定に基づく連携事業(日置市吹上歴史民俗資料館の活性化)への取り組みの一環として行うことも視野に入れているため、吹上歴史民俗資料館や日置市内の遺跡についても取り扱い、日置市の地域振興・観光振興に寄与することも目的としたい。

地域創生DMOの組織のあり方について

経済学部 教授
丸山 政行
研究目的

 鹿児島の観光等による地域創生を目指す。鹿児島のポテンシャルを模索する。
 特に、受入れ側であるDMOの形態の模索、住民意識と域外との違いなどを調査しDMO、観光協会のあり方、予算確保手法や他DMOとの協力、基礎自治体との協力関係をどうすれば築くことができるかを研究の目的とする。
 鹿児島県内でも、県民を隔てるものが、どこにあるのかを模索して、共同・協力のあり方について考察を行う。
 また、鹿児島県以外の内外の観光による地域創生の検討を行い、観光資源を発掘する。

串木野商店街の現状と課題

経済学部 准教授
西 宏樹
【研究目的】

 JR串木野駅の近辺には、大型店舗に加え、ハロー通り、中央通り、大原町通り等に複数の商店が存在している(以下、串木野商店街)。その一方で、空き店舗も多く点在しており、残念ながらシャッター商店街と化している。市内の中心的な駅である串木野駅の近辺および高校の通学路に位置しているにもかかわらず、串木野商店街がその優位性を充分に活かせていないのは何故なのか。そもそも、活性化の鍵となりうる若者は、この商店街にどのようなイメージや期待を抱いているのだろうか。
 そこで、本研究では、串木野商店街の「活性化」に向け、現地視察やアンケート調査などを実施し、マーケティングの視点から検討する。串木野商店街の現状や課題、消費者(若者)のニーズなどを明確化することで、同商店街の活性化(観光地化)へのヒントを得ることにしたい。なお、本研究は、最後に、現地(いちき串木野市内)で最終報告会を実施する予定である。

鹿児島における“地域共生ツーリズム”創出に向けた探索的研究

福祉社会学部 准教授
茶屋道 拓哉
研究目的

 社会福祉や地域共生社会の実現のために活動している地域や法人の“強み”を再発見・集約し、そこから学び、ふれあい、観光とセットにすることを探る。本研究では、鹿児島県内における地域共生社会に向けた様々な取り組みを行っている地域・事業所(法人等)を機縁法等を用いて探索(フィールドワーク・掘り起こし)し、スタディツーリズムとしての設定が可能かどうか、多角的に検証を行い、最終的には鹿児島県の“地域共生ツーリズム”を提案出来るようにする。このことで、鹿児島県の地域共生に向けた取り組みが再評価され、一連の成果を基軸としたスタディツーリズムが確立されれば地域共生・地方創生に寄与できるものと考える。

スポーツツーリズムに着目して

福祉社会学部 准教授
深田 忠徳
研究目的

〇観光庁(国土交通省)は、2011(平成23)年に「スポーツツーリズム推進基本方針~スポーツで旅を楽しむ国・ニッポン~」を策定した。その骨子は、「1.スポーツとツーリズムの融合で目指すべき姿」として①より豊かなニッポン観光の創造、②スポーツとツーリズムの更なる融合、「2.スポーツツーリズムに期待する効果」「3.スポーツを活用した観光まちづくり」である。スポーツツーリズムは、スポーツを通して、日本が有する自然や文化を外国人旅行者へアピールしていくことのみならず、国内旅行の消費を拡大していくことやそれに伴う地域雇用を創出していくことにも貢献できると考えられる。
〇鹿児島県は、平成30年度スポーツキャンプ・合宿を鹿児島県内で行った県外者は、延べ152,536名(前年度比5.4%増、7879名増)、団体数は1,308団体(前年度比2.7%増、35団体増)と過去最高の記録を更新した(鹿児島県文化スポーツ局スポーツ振興課,「平成30年度鹿児島県スポーツキャンプ・合宿状況調査結果」2019年10月)。スポーツ施設の拡充・整備や自治体の誘致活動及び鹿児島特有の温暖な気候が参加者増加につながっている。2020年度は、垂水市におけるスポーツツーリズムに焦点化して研究を進めた。
〇2021年度は、東京オリンピック・パラリンピックやワールドカップ2019の事前合宿地として鹿児島市(南アフリカ・ラグビー)、鹿屋市(タイ・バレーボール)、大崎町(台湾、トリニダード・トバコ・陸上競技)が誘致したことを踏まえて、外国ナショナルチームのキャンプ地として実績のある各自治体の具体的な取り組みや民間や地域との連携、対象国との交流などをインタビュー調査によって明らかにする。そこで得られた知見をもとにスポーツキャンプ誘致において高まりを見せつつある鹿児島県の観光資源をスポーツ分野から考察する。

玉里文庫本『古筆源氏物語』の調査と旧島津氏玉里邸庭園

国際文化学部 准教授
武藤 那賀子
研究目的

 旧島津氏玉里邸庭園は、日本国指定名勝である。しかし、市バスの路線廃止やただでさえ少ないバスの本数減少により、2020年度からアクセスしづらい場所となる。この庭園は、島津業興が築庭したこと、その子息島津久光が国葬にされるときに作られた門が有名である。現在公開されているのは下御庭のみである。上御庭は鹿児島女子高等学校の敷地内にあり、年に数回のみ公開している。また、庭園内には休憩スペースがなく、人が来園していることはあまりない。庭園のパンフレットも簡易的なものとなっている。
 本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業「玉里文庫本『古筆源氏物語』の本文と伝来の研究」(基盤研究C、研究機関:2021‐2025年度、研究代表者:武藤那賀子)と連動する。科学研究費研究課題においては、かつて、この庭園にあったとされる書物群から鹿児島大学に移された玉里文庫本に着眼する。中でも、『古筆源氏物語』の調査を行なう。『古筆源氏物語』は、先行研究において近衛家から伝授されたものとされているが、この説には根拠がない。玉里邸にあった当該本を、来歴を含めて調査する。この科学研究費研究課題の結果に加え、本研究では庭園そのものを調査し、学部生による案内書を作ることで、庭園をより身近な場所として感じられるようにしたい。
 なお、本研究では、この他に、2020年度末に研究者が発見した旧鹿児島市紡績所技師館(異人館)の図面についても言及する予定である。