前身の地域経済研究所は1968年1月に設立発足。南九州地域の経済分析、琉球弧としての鹿児島・奄美・沖縄の地域経済分析を行う地域経済の組織的な研究を目的とし、研究の諸活動を通して大学の研究層の拡大と研究体制の強化が図られました。共同研究の課題は南西諸島の経済発展などで、実証研究を中心に研究調査を積み重ねてきました。1971年6月『地域研究』第1巻第1号を発刊し、その成果を広く問い続け、学部の増設と共に研究分野を拡大し、1986年4月地域総合研究所に改組、経済・社会学部(当時)体制で諸地域の学術研究・調査及びその成果を通して社会発展に貢献してきました。
2001年4月、旧鹿児島短期大学の鹿児島国際大学短期大学部への移行によって同短大の南日本文化研究所は地域総合研究所に統合されました。長年、南日本を中心とした研究や調査、奄美大島地域の「奄美群島総合学術調査」など各島の文化財に関する調査、各種アンケート調査などを実施。教養学科学生の調査実習を修得させるなど、実態調査に大きな貢献をしていました。南九州地域の経済分析や琉球弧としての南西諸島・沖縄の政治・経済・文化の研究などにおいて、多くの優れた業績をあげています。
鹿児島国際大学への名称変更と研究活動の国際化に応えるため、2003年5月からは、研究所の機関研究を最重点施策に掲げ所長が中心となり研究テーマを決め、それにふさわしい優れた研究者を学内外、さらに必要に応じて外国からも集め、国際的な研究活動を行うプロジェクトが企画されました。海外に視野を広げた多面的な地域研究が必要であることから専任の所長を置く大学附置の機関とするなど抜本的な改革がなされました。
2008年からは、「地域における知のネットワーク形成」プロジェクトが進められました。これは地域の中に、地域と地域の間に事業者がネットワークを形成しようとする努力とそのネットワークを分析する、まさに「地域」の「地」と「知恵や知識」の「知」の統合を目指した研究として、問題を探求していき、自治体やさまざまな団体との協働・連携を進めながら地域貢献を行っていくという視点も含むものでした。
2014年度はプロジェクトの立ち上げとともに、研究所のあり方も新たな段階に入り、以下の4点に焦点を当てながら地域における研究の拠点としての役割を持たせていくことになりました。
- プロジェクト共同研究(教員を中心とした従来からの研究である)
- 地域共同研究(行政や各種団体等と共同で研究を進めるもの)
- 地域委託研究(行政や各種団体等からの委託を受けて実施する研究)
- 地域交流活動(研究所の施設等を利用して講演会・研修会等を行う)
プロジェクト共同研究においても、地域密着性を強めた研究を志向し、2014年度は「南大隅町を中心とした大隅半島地域の地域づくり(地域福祉を含む)と産業の育成」でした。
2016年度は、今まで以上に鹿児島に軸足を置いた地域研究を進め、地方創生に貢献する方針が示され、「鹿児島の地方創生に関する総合的研究」をテーマに新しいプロジェクト共同研究が立ちあがりました。その下には、2つのサブテーマ「A:高齢化・人口減少が地域にもたらす諸課題の解決(経済・福祉面を中心に)」と「B:魅力ある地域づくりに関する研究」が設けられ、人口減少問題と地域づくりについて6人の所員が研究に取り組みました。
2017年より清水基金プロジェクトが開始されました。本プロジェクトは、本学福祉社会学部の高橋信行教授の恩師である故・清水盛光氏の財産から遺贈された寄附金を使用して実施されたもので、高橋教授を中心に、2023年までの約6年間にわたり、延べ22名の研究者が参加し、鹿児島県を中心に東アジアをフィールドとして、京都女子大学や他団体とも連携しながら、経済・教育・福祉・文化・言語・歴史・地域活性化など幅広いテーマに関する研究に取り組みました。その成果は、2024年4月に最終報告論集『地域探究の視角』として刊行。また同年6月には、ジャーナリストの池上彰氏らを招き、「地域探究の視角―ジェンダー平等のあり方を手がかりに―」をテーマとした報告会を開催しました。会場には学生や一般市民あわせて約520名が来場し、ジェンダー平等と地域発展をめぐる議論を通して、鹿児島の未来を展望する有意義な機会となりました。
2024年度からは、「持続可能な地域連携」をテーマとした新たな共同研究プロジェクトを実施。本プロジェクトではフィールドワークを重視し、地域連携のあり方やその実践、大学教育との関係、さらに教育への還元について研究が行われました。6名の研究メンバーがそれぞれの専門分野や地域での実践をもとに研究を積み重ね、これからの地域連携の方向性が示されました。
2026年度からは、「デジタル技術と地域社会―地方私立大学による地域貢献―」を新たなテーマとする新体制が始動。急速に進展するデジタル技術に着目し、各分野における変化や新たな動向を明らかにするとともに、それらを踏まえた地域社会のあり方を検討していきます。とりわけ鹿児島県域において、本学のような地方私立大学がAI時代に果たすことのできる地域貢献について、実践的かつ多角的に探究していきます。