地域連携・研究TOPICS

2025.12.15

地域総合研究所

地総研、「散走」テーマに研究会

地域総合研究所は、11月28日・29日、全国で自転車を活用した地域づくりに取り組む室谷惠美氏(一般社団法人散走ネットワーク理事・事務局長)を講師に迎え、研究会「自転車で見つける地域の価値と、わたしの散走(さんそう)」を開催しました。

1日目は、散走の理念を学び、独自の散走プランを作成

「散走(さんそう)」とは、散走とは、自転車でのんびり地域を巡り、自然や文化、食などを気軽に楽しむ新しい地域観光のスタイル。室谷氏のレクチャーの後、散走プランづくりへ。「南さつまの砂と海と食」「桜島を丸ごと楽しむ散走」など、多彩なアイデアが生まれました。学生、自治体職員、地域おこし協力隊、サイクルツーリズム関係者など立場の異なる参加者約30人が、和やかに交流する姿が印象的でした。

参加者からは、「地域の魅力をあらためて知ることができた」「散走の楽しさを実感できた」といった声が多く寄せられました。

 

2日目は南さつま市を舞台に散走を体験

2日目は南さつま市の散走体験会を実施しました。同市役所担当者からは、30年以上にわたる「サイクルシティ南さつま」の取組や、サポートライダー制度について説明いただきました。
当日は快晴に恵まれ、吹上浜海浜公園、サンセットブリッジ、益山八幡神社、旧南薩鉄道路線跡の「りんりんロード」など、車では立ち寄りにくい地域の魅力を自転車で巡りました。

 

散走が生み出す交流と地域理解

散走は、景色や匂い、音といった道中の“気配”を感じ取りながら地域を“線”でたどる体験です。風の心地よさやその場で立ち止まれる自由さに加え、路面の凹凸や車の往来に声を掛け合うなど、自然とコミュニケーションが生まれるのも特徴です。ゆったりしたペースで、普段自転車に乗らない方も無理なく参加でき、散走ならではの満足感がありました。

こうした「地域を立体的に捉える視点」は、1日目のワークショップにも通じています。互いの出身地や思い出の場所をきっかけに語り合い、多様な参加者同士が意見を交わすことで、地域理解が多角的に深まっていきました。散走プランづくりというプロセスそのものが、地域の魅力を再発見する学びの場になったといえます。

参加教員からは「企業の新入社員研修にも活用できそう」という意見もあり、散走が持つ教育的価値や地域理解の手法としての可能性も再確認されました。

今後も地域総合研究所では、散走をはじめとした取り組みを通じて、大学・自治体・民間が協力し合う新しい地域づくりを進めてまいります。