地域連携・研究TOPICS

2025.03.18

地域総合研究所

種子島にてシンポジウム「地域で支える子どもの育ち、誰もが輝く島づくり」 開催!

令和7年3月8日(土)、中種子町立中央公民館にて、科研費シンポジウム「地域で支える子どもの育ち、誰もが輝く島づくり」が開かれ、島内の医療・福祉・教育関係者や地域住民ら26名、本学看護学部生10名・種子島中央高校生5名、合計41名が参加しました。本シンポジウムは、発達障害児支援の基盤となる「サポートファイル」の活用を促進し、地域全体で子どもを支える仕組みについて議論することを目的に本学地域総合研究所が主催しました。
基調講演では、あまみ療育ネットワーク副会長の宮田智子氏が「奄美大島におけるサポートファイルを活用した子育て支援の現状と課題」について講演しました。宮田氏は、自身が医療的ケア児の親である経験から、地域における発達支援の不足を痛感し、訪問看護ステーションを立ち上げた経緯を紹介。奄美大島で、発達障害児の成長記録をまとめ、支援者間で情報を共有する「キラキラリレーファイル」の活用を進めている一方で、支援ツールの存在を知らない、書き方が分からないといった課題もあることを述べました。
続く研究報告では、看護学部の稻留直子准教授が「サポートファイルを活用した発達障害児の包括的・継続的支援体制の構築」について発表。種子島における調査では、支援者の約7割が「同ファイルを見たことがない」「中身を知らない」と回答し、認知度の低さが浮き彫りになりました。支援者間の情報共有を円滑にするためにも、活用促進の必要性を訴えました。
パネルディスカッションでは、基調講演を行った宮田氏と、種子島四葉の会代表・小児科医の岩元二郎氏、訪問看護ステーションがじゅまる管理者の中村英仁氏、児童発達支援センターすまいるキッズの田平里美氏の4名が登壇し、現場の課題や今後の展望について意見を交わしました。モデレーターを務めた稻留准教授が、課題を解決するためには、地域全体での理解促進と、誰もが気軽に支援を受けられる環境づくりが必要であるとまとめました。
最後に、高校生と大学生が共同で行ったワークショップ「わかもの会議」の成果発表が行われました。子育て・医療・教育の3分野について、島の特徴やインタビューで得た意見、高校生の視点をまとめ、具体的な提言を発表。大学生にとっては初の地域でのフィールドワークでありましたが、高校生と協働しながら進めることができました。高校生にとっても、大学生との関わりを通じて進学やキャリア形成の具体的なイメージを持つ機会となり、双方にとって有意義な時間となりました。