地域連携・研究TOPICS

2023.12.20

地域総合研究所

地域総合研究所「酒と鹿児島」研究チーム教職員による、出水、伊佐、人吉方面へのフィールドワーク

地域総合研究所共同研究プロジェクトとして2022年度より、「経済・文化からみた酒と鹿児島」というテーマで研究を進めている中で、活動の一環として所員によるフィールドワークも行っています。今年度は9月30日~10月1日に出水市、伊佐市、人吉市でフィールドワークを実施しました。

1日目は出水市と伊佐市を訪問。出水といえば「麓」と「鶴」ということで、「出水麓歴史館」「公開武家屋敷の竹添邸と税所邸」「クレインパークいずみ」を見学。公開武家屋敷では解説員の方の詳しい説明があり理解が深まりました。

「出水酒造」では案内の方から焼酎生産の流れを説明していただき、焼酎の試飲や「銘柄当て大会!」にも挑戦しました。酒造所での試飲は珍しくないかもしれませんが、銘柄当てのクイズを行っている酒造所は少ないと思われ、興味深い試みだと感じました。

伊佐地域の代表的な観光スポットの「曽木の滝」では、ボランティアガイドの方に「曽木発電所(遺構)」の説明にも重点を置いてもらう形で案内をいただき、「大山酒造合名会社」では、代表社員の大山大我氏に焼酎づくりの一連のプロセス、焼酎をとりまく問題点の様々について話をうかがいました。

1日目はできるだけ「解説をいただく」という方針でコースを設定し、自分たちだけでは見たり知ったりすることができないと思われる様々なものを紹介いただき、「解説」の重要性を強く感じました。

2日目は街歩きを意識し、自分で見どころを探るという趣向で進めました。

「人吉城」の石垣などを見学しつつ二の丸跡に登り、市街地を一望できる場所から2020年7月にこの地を襲った大水害の話題を共有しました。

「繊月酒造」には広い試飲会場が用意され、人吉市街の代表的な観光地「永国寺」や「青井阿蘇神社」と合わせて“多くの人々が訪れる観光地の一つ”として認識されていることがよくわかりました。また,繊月酒造や青井阿蘇神社では、2020年の洪水災害の様子を知ることもできました。

「焼酎」の文字が記された落書きで知られる「郡山八幡神社」では、肝心の落書きがどこにあるのか、現地ではよくわからず案内があれば良かったと残念でした。

「球磨焼酎ミュージアム白岳伝承館」は、球磨焼酎作りの流れをジオラマで展示していたのが目を引きましたが、「人吉クラフトパーク」の焼酎館には焼酎と関係がないと思われる展示も多く、「焼酎を展示する」ための効果的な方法はどうあるべきなのか、考えさせられました。

今年度のフィールドワークは、酒造所を中心に文化財・遺跡などを有機的に結び付けたツーリズムの提案としてコースを設定しました。参加した所員はそれぞれの研究視点でフィールドワークに臨んでおり、今後の研究の推進に寄与することを期待しています。

(地域総合研究所長・国際文化学部教授 大西智和)