IUK NEWS

2024.08.26

経済学部

経済学部 国際秩序の行方を考える講演会を開催

8月8日(木)、経済学部学会委員会主催の学内講演会「崩壊する世界――新たな敵対的な国際秩序が出現するか?」(The World Out of Joint: Is a new and more hostile international order emerging?)が、ドイツ・ロストック大学のヨルン・ドッシュ(Joern Dosch)教授を講師に迎えて行われました。

ドッシュ教授は国際関係論の専門家として、ヨーロッパをはじめ国際的に活躍されています。来日予定であったドッシュ教授と親交がある康上賢淑教授が鹿児島にお招きし、今回の講演会が実現しました。
使用言語は英語でしたが、多くの方々に参加していただけるよう、音声翻訳機能を利用してスクリーンに日本語訳をリアルタイムで表示しました。また、ジェフリー・アイリッシュ教授に質疑応答を通訳していただくことで、参加者は気兼ねなく質問することができました。

現在、ロシア・ウクライナ侵攻やイスラエル・ハマス戦争、ミャンマーやスーダンの内戦など世界各地で紛争が多発し、死者数も増加を続けています。こうした今日の国際情勢を読み解くための視点として、諸国間の同盟の締結にはバランシング(脅威を与える国に対抗するために他の国と同盟を結ぶ)やバンドワゴン(脅威を緩和するため脅威を与える国と同盟を結ぶ)といった力学が作用していること、また、自由民主主義を標榜する国において台頭する極右政党が権威主義体制を採る他国のリーダーに共鳴するといった新しいグローバルなイデオロギー分裂が生じていることなどについてレクチャーしていただきました。
多国間主義や国際機関の役割、ロシア・中国の関係強化、大統領選後のアメリカの戦略などにも注目をせざるをえません。

講演に続いて、「西側メディアの影響を強く受けている日本社会のあり方」「沖縄とともに防衛力強化の最前線にされつつある鹿児島の現状への懸念」「新しい国際秩序のなかでの中国の行方」「日本の再生可能エネルギー導入の課題」などをめぐって質疑応答が行われました。
講演は「国際大学」の名にふさわしく、かつタイムリーな内容でした。多数参加された留学生や市民の方々には、大学らしさ(アカデミズム)の一端に触れていただく機会になったことと思います。