1月24日(金)、経済学部学会委員会主催の学内講演会「日本の農業・食料を巡る国際環境と協同組合」が、佐賀大学名誉教授の白武義治先生を講師に迎えて開催されました。白武先生は、長年にわたり大学で教壇に立ち、併せて農業経済学会や食農資源学会の理事を歴任し、精力的に海外調査を行ってこられました。
現在、世界では食料の増産と貿易が拡大する一方で、貧困や飢餓による栄養不足に陥る人々が増加しています。その背景には、近年の農産物貿易の自由化の加速と多国籍アグリビジネスの台頭があります。こうした世界の農業・食料をめぐる状況は、熱帯雨林開発による環境破壊や遺伝子組換作物の増加、ポストハーベスト農薬の利用拡大、食品添加物の問題などを引き起こすものとして危惧されています。
このような現状を踏まえ、各国で推進されている協同組合活動への期待が高まっています。その流れを受け、国連は2025年を『国際協同組合年』と定め、SDGs達成に向けて協同組合の重要性と活動のさらなる推進を呼びかけています。
本講演会では、協同組合の重要性と、その背景にある国際的に重要な問題や現在の日本を取り巻く状況について、白武先生の幅広い知見をもとにお話しいただきました。
講演後、『食料輸入に依存する私たちが食の安全のためにできることは何か』『アメリカのトランプ政権の貿易政策の影響をどう考えるか』などについて意見が交わされました。現在、日本では食料自給率の低下や農業の担い手不足が深刻化する一方で、食品ロスの問題も拡大しています。このような状況の中で私たちが今後直面する課題を見つめ直す大変有意義な講演会となりました。