ビジネスのミカタ

鹿国大 卒業生メッセージ ビジネスのミカタ IUK GRADUATION MESSAGE

Vol.10

第50期・1985年 経済学部 経営学科卒業

鹿児島信用金庫 理事長

市川 博海

SDGsを意識し、金融を通して地域発展に寄与

1985年の入庫と同時に営業店に配属され、その後24年間で8か店舗を経験しました。その間、主に営業の職に就き支店長も務めました。その後は、本部に異動となり2016年に理事に就任、2023年には理事長を拝命しました。

信用金庫は協同組織の地域金融機関ですので、決められた地域内(当金庫は鹿児島県内)での営業に限られており、地域で集めた資金を地域の中小企業と個人に還元することにより地域発展に寄与することとし、地域の皆様と共に繁栄することを目指しております。また、協同組織の特性である「出資者=お客様」の関係性を大切にし、常に「相互扶助」と「お客様の利益」を意識して業務にあたっています。

そのことを痛感したのが、30年前の鹿児島大水害です。当時、営業店で営業担当をしていました。当時の雨は、身の危険を感じるほどの雨量でした。雨が治まると、寸断された道路を回り道しながら、被害に遭われたお客様を軒並み訪問し、資金繰りや困りごとの相談を受けるのがしばらく続きました。微力ながら、「地域に役立つ仕事ができたかな」と感じる瞬間でした。

当金庫では2011年に中小企業の経営改善及び地域の活性化を目指し、「かしんの杜」を創設しました。お客様の課題解決に取り組んでおりますが、これからも「かしんの杜」事業を通じてSDGsの目指す「持続可能な開発目標」の達成に向けて社会貢献活動を展開することで地域経済・社会・環境問題等のほか、お客様のさらなる繁栄に努めてまいります。

今後の地域の課題として、域内の人口や事業所の減少などにより地域経済の縮小が懸念されます。このほか、原材料・エネルギー価格の高騰により個人消費の低迷や中小企業の収益力・資金繰りの悪化が最重要課題となっていますので、中小企業への寄り添った資金繰り支援、経営改善、事業再生支援に積極的に取り組みます。県内には多種多様な業種の企業の営みがあります。当金庫が提供する金融機能のみならず、非金融を含めた情報やサービスの提供が今後さらに求められています。

そのためにも、経営トップとして、職員の人財育成に留意しています。「人は城」と言います。組織を支える一番の力は、職員の力によります。すなわち、職員は財です。大切に育てたいと思っています。

後輩へメッセージ

採用試験の役員面接でよくする質問です。「どんな社会人になりたいですか。あなたの志を教えてください」。人は生まれてから約20年、社会から育ててもらう。その後、社会人になって約40年掛けて社会に恩返しをするものだと思っています。

ですから大学時代は、よく学び、よく遊んでください。そして、生涯の友をつくりましょう。私は、経済統計研究部に属していました。固い勉強のサークルでしたが、14人の友とよく学び、よく遊んだ4年間でした。最高の思い出です。そして、今でも生涯の友です。大学生活に後悔はあまりありませんね。

座右の銘・処世訓など

「喜ばれることに喜びを」

愛読書・推薦書など

本当は、歴史書を読みたいのですが、最近はビジネス書が多いです。
就職活動中の学生さん、「日本でいちばん大切にしたい会社」(坂本光司著)は読まれましたか。