プロジェクト代表 | アイリッシュ ジェフリー |
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プロジェクトメンバー | アイリッシュ ジェフリー、平出 宜勝、樋口 晃太、川﨑 竜太、内山 仁、稻留 直子 |
「A Consideration of Fieldwork Methods and Potential」
経済学部 教授 Jeffrey S. Irish
I am taking this unique opportunity to research and consider the role that seminar-based fieldwork plays in the educational development of students and faculty here at the International University of Kagoshima. Each department of the university has set fairly concrete goals for the skills that will ideally be possessed by graduates of the department. Similarly, the university has defined the kind of thoughtful and productive individual it hopes to send out into society upon graduation.
University-wide goals include – but are not limited to – the ability to identify and solve problems in the student’s area of expertise, the ability to communicate effectively with others, a general hunger for and curiosity regarding new knowledge, and a genuine respect for other individuals and cultures. The university makes use of questionnaires and exit interviews in an effort to determine how successful it is in achieving these goals. Using these questions and results as an initial reference point, I will work with my seminar students to evaluate the effectiveness of past fieldwork and study how concretely our time together and in the field has contributed to their attainment of some of the graduation goals being set by the economics department and the university. I will also look at the approaches other faculty are taking to fieldwork and some of the positive outcomes they have enjoyed.
Finally, my students and I will be looking for fieldwork models that are conducive to a long-term relationship between the faculty and staff of the university and the surrounding community. Said “community” includes – but is not limited to – local businesses, local governments and locally active individuals.
「カスタマーレビューを活用した鹿児島県の観光需要分析」
経済学部 講師 平出 宜勝
日本政府観光局(JNTO)によると、2019年における日本全体の訪日観客数は3,188万人と過去最多を記録し、その後2020年から2022年まで新型コロナウイルス感染拡大に伴い大きく減少したが、2023年には2,507万人まで回復してきている。また2024年の現時点においては訪日客数は順調に推移してきており、このまま好調な状況が続けば2019年の年間最多訪日客数を超える予想となっており、いよいよ本格的にインバウンド需要が回復してきた年と言えるであろう。鹿児島県においても中国や韓国との直行便の再開や、海外大型クルーズ船の寄港が増加するなど、新型コロナウイルス禍からの回復の兆しを見せてきている。一方で、外国人宿泊者数はコロナ禍前の4割となっており今後のさらなる回復が期待される。そこで本研究では、鹿児島県を訪れる訪日観光客の需要を分析するため各観光スポットのインターネット上におけるカスタマーレビューを活用し、訪日観光客が実際に観光地を訪れた際の感想や意見を収集し分析を行う。具体的には、収集した過去のレビューを用いて鹿児島県内の観光地の特徴や改善点をテキスト分析を通じて明らかにし、さらに季節や地域による需要変動の要因分析また将来の観光需要の予測を行う。本研究を通じて観光業者や行政が、どのように鹿児島の観光資源を活用し、より魅力的な観光サービスを提供できるかを考えるための一助となることが期待される。
「企業と地域の持続可能な連携」
経済学部 講師 樋口晃太
SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境、社会、企業統治)投資の拡大が相まって、企業は経済的価値のみならず、地域や社会のニーズと共通する価値の創造が求められるようになった。共通価値の創造には、企業と地域を構成するさまざまな主体との持続可能な連携が必須となる。(Porter & Kramer 2006;2011)
本研究の目的は、産官学地域連携の持続可能なあり方を実践的に探究することである。本研究が探究する持続可能な連携とは、連携活動に参画する学生や企業、地域などの主体にとって満足度が高く、何らかの経済的、あるいは社会的成果を達成した状態を指す。ここで言う企業とは、営利法人としての株式会社だけでなく、非営利法人としての大学や公法人としての地方自治体なども射程としている。また研究を通して得られた知見は教育活動に活かし、実践を通して検証していきたい。
「地域課題解決のための持続可能なプログラム構築に関する研究」
福祉社会学部 准教授 川﨑 竜太
本研究の目的は、地域課題解決のために地域特性を考慮した仕組みの構築を目指すものであり、地域の社会資源を活かしたインフォーマル資源の開発・拡充について検討する。具体的には、福祉関係人口を増やすために、「防災福祉教育」を入口として地域を基盤とした持続可能なプログラムの構築を目指す。地域課題について、3つの視点(「生活困窮(防貧)」、「防災」、「人材確保」)を挙げ、それぞれの課題に関する文献研究や調査研究を行い、今後の方策について考察を行う。
「地域と学校の協働による授業づくり」
国際文化学部 准教授 内山 仁
地域に開かれた学校づくりや地域の教育資源の活用が言われて久しいが、具体的に踏み出せない学校や教師も多い。この問題を解決するには、地域にある様々なひと・もの・ことを授業に生かしていく際に地域と学校の間にどのようなことが起こっているのか、丁寧に見ていく必要がある。これまで地域の教育資源の活用については学校や教師の側の主導性を指摘する研究もあったが、学校や教師の目的的な働きかけだけでは地域の豊かな資源を十分に授業に生かすことはできないのかもしれない。そのような思いを持ちつつ、地域の教育資源を生かした授業を数多く実践している学校を調査する。
「域学共生型フィールドワークの検討」
看護学部 准教授 稻留 直子
地域社会に貢献し、地域に暮らす人々の生活を生涯にわたって支えられる人材の持つべき素養には、身近な地域社会の文化、歴史、自然などを学び、地域社会の将来を見据え使命感を持って地域課題の解決に取り組むことができる力が必要である。
また地域と連携した大学の教育プログラムとしてフィールドワークは重要である。特に、初年次、2年次でのフィールドワークは、地域に向き合う姿勢を養い主体的に学び・考えるきっかけとなる(吉本、2016)。つまり、フィールドワークによって、地域に向き合う姿勢が養われ、主体的な学びが触発されるのである。
一方、域学連携は主体の専門性と地域の当事者意識から「交流型」「価値発見型」「課題解決実践型」「知識提供型」のように、いくつかの類型に分類でき(中塚・小田切,2016)、多様な連携が可能である。本学看護学科では、初年次のフィールドワークを通して人々の地域での暮らしに関心をもてるようにし、社会に貢献する看護を様々な視点から探究する「卒業研究」に発展できるカリキュラムを編成している。初年次のフィールドワークをきっかけに継続的に地域とつながり大学と地域が共に生きていくための協同関係を築き、卒業時にはより専門性の高い視点で課題解決に向けた実践的なフィールドワークに発展していくことが必要であると考える。
そこで本研究では、看護学科生が初年次に行う2つのフィールドワークの学びの分析と受け入れフィールドの代表者に対するインタビュー結果をもとに、域学共生を目指し、継続的な域学連携を可能にするフィールドワークの在り方を検討することを目的とする。