プロジェクト代表 | アイリッシュ ジェフリー |
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プロジェクトメンバー | アイリッシュ ジェフリー、平出 宜勝、樋口 晃太、川﨑 竜太、内山 仁、稻留 直子 |
「A Consideration of Fieldwork Methods and Potential」
経済学部 教授 Jeffrey S. Irish
I am taking this unique opportunity to research and consider the role that seminar-based fieldwork plays in the educational development of students and faculty here at the International University of Kagoshima. Each department of the university has set fairly concrete goals for the skills that will ideally be possessed by graduates of the department. Similarly, the university has defined the kind of thoughtful and productive individual it hopes to send out into society upon graduation.
University-wide goals include – but are not limited to – the ability to identify and solve problems in the student’s area of expertise, the ability to communicate effectively with others, a general hunger for and curiosity regarding new knowledge, and a genuine respect for other individuals and cultures. The university makes use of questionnaires and exit interviews in an effort to determine how successful it is in achieving these goals. Using these questions and results as an initial reference point, I will work with my seminar students to evaluate the effectiveness of past fieldwork and study how concretely our time together and in the field has contributed to their attainment of some of the graduation goals being set by the economics department and the university. I will also look at the approaches other faculty are taking to fieldwork and some of the positive outcomes they have enjoyed.
Finally, my students and I will be looking for fieldwork models that are conducive to a long-term relationship between the faculty and staff of the university and the surrounding community. Said “community” includes – but is not limited to – local businesses, local governments and locally active individuals.
「FTA/EPAの輸出拡大効果はいかにして地域へ波及するのか:
鹿児島を事例としたメカニズムと実態の解明」
経済学部 准教授 平出 宜勝
本研究は、近年日本が締結を進めているTPP11や日EU・EPAなどの経済連携協定(FTA/EPA)が、鹿児島県における農林水産品輸出へ与える影響を実証的に検証するものである。従来、FTA/EPAの経済効果分析は製造業や国家レベルを対象としたマクロ分析に偏りがちであり、地域レベルの農林水産分野における実態把握は限定的であった。本研究では、公的統計データを用いた定量分析と、県内の輸出事業者・関係機関へのアンケートおよびインタビューを用いた定性分析を併用することで、制度導入の影響、制度活用の実態、現場が直面する課題の三側面を立体的に把握する。
特に、知覧茶やかごしま黒豚など地域ブランド品目を中心に、FTA/EPA発効後の輸出動向や事業者行動の変容を明らかにし、地域経済における制度活用の可能性と限界を明示することを目的とする。本研究により、FTA/EPAの地域展開に関する学術的知見の深化に加え、地域輸出戦略および中小事業者支援政策への実践的示唆を提供することが期待される。
「チームの多様性と同質性がフィールドワークに及ぼす影響」
経済学部 講師 樋口晃太
本研究は、大学教育のフィールドワーク活動において、チーム編成が学生のパフォーマンスにどのような影響を与えるかを、組織論の観点から探索的に実験するものである。近年、企業組織では、主に創造性を高めるとの知見から、多様なメンバーで構成されるチーム編成が重視されている。一方、大学教育、とりわけ学生主体のフィールドワークにおけるチーム編成に関して、そうした多様性や、逆に同質性がもたらす影響に焦点を当てた先行研究は乏しい。
そこで本研究では、実際のフィールドワーク(鹿児島県連携事業「ふるさと水土里の探検隊」)において、性格診断に基づき多様性が高いチームと同質性が高いチームを意図的に編成し、学生の創造性、心理的安全性、活動満足度等を指標としてアンケートおよびインタビュー調査を実施する。企業組織との比較も視野に入れながら、教育現場でのチーム編成に関する実践的知見の獲得を目指す。
「持続可能なソーシャルデザインアプローチの構築に関する研究」
福祉社会学部 准教授 川﨑 竜太
人口減少が進行する現代社会において、地域に根ざした社会資源の構築と活用は、持続可能な福祉の実現に不可欠である。本研究では、「防貧」「人材確保」「防災」という三つの社会課題に焦点を当て、地域特性に応じたソーシャルデザインの実践モデルを構築することを目的とする。広島県竹原市や鹿児島市における人材確保・貧困対策の取組、日置市および南九州市における防災教育の実践事例を調査対象とし、インタビューや研修時のアンケートを通じてデータを収集。地域の福祉関係人口を増やすための仕組みや住民意識の変容を分析する。こうした事例研究から導き出された知見をもとに、持続可能な社会課題解決のためのアプローチモデルの提案を行う。研究成果は、地域社会のソーシャル・イノベーションに寄与することが期待される。
「地域と学校の協働による授業づくり」
国際文化学部 准教授 内山 仁
地域に開かれた学校づくりや教育資源の活用が長らく唱えられてきた一方で、具体的に踏み出せない学校や教師も少なくない。地域にある多様な「ひと・もの・こと」を授業に取り入れる際、地域と学校のあいだで何が起きているのかを丁寧に捉えることが、こうした課題の突破口となる。本研究は、学校主導の地域連携から、地域と学校が対等に関わり合う「協働」へと転換するための視点を提案することを目的とする。教育現場で実践されている授業づくりを対象に、訪問調査やインタビューを通じて実態を明らかにし、地域の教育資源をいかに有効に授業へと組み込むかを検討する。得られた成果は、地域総合研究誌や報告会を通じて発信され、現場への具体的な示唆を提供する。
「地域の互助機能を育むための地区活動の在り方の検討
~防災体力作りを通して~」
看護学部 准教授 稻留 直子
本研究は、地域共生社会の実現に向けた持続可能なコミュニティ形成の一環として、住民相互のつながりや支え合い機能=互助機能を高める地区活動の在り方を検討するものである。近年頻発する災害に対応しうる地域の防災力向上には、高齢者など体力的弱者の自主避難を可能にする体力の維持・増進が重要であり、従来の福祉的アプローチに加えて、防災の視点が求められている。本研究では、地区活動の現場において体力測定や主観的健康観の調査、避難経路の地形特性の把握、防災ワークショップを通じたグループインタビューなどを実施。得られたデータをSPSSやNvivoによって分析し、互助機能の促進に資する地区活動モデルの構築を目指す。研究成果は機関紙『地域総合研究』等を通じて公開予定である。