鹿国大のチカラ「教員紹介」

山本晃正教授(経済学部)

経済に関する法の功罪分析

中村ますみ准教授(短期大学部)

音楽活動で街全体を元気に

山田晋教授(国際文化学部)

マイノリティとジェンダー研究

蓑毛良助教授(福祉社会学部)

言語発達と愛着理論の関係考察

中村隆之准教授(経済学部)

古典手がかりに今の経済を考察

種村エイ子教授(短期大学部)

皆が元気になる図書館めざして

中園聡教授(国際文化学部)

総合的新領域の考古学確立へ

岩井浩英准教授(福祉社会学部)

子どもたちの「最善利益」追求

大久保幸夫教授(経済学部)

ICT使い、eビジネス実験

松原武実教授(短期大学部)

郷土に眠る民謡・芸能を研究

野中哲照教授(国際文化学部)

古典文学読解から教養の本質迫る 

佐々木陽子准教授(福祉社会学部)

「境界を超えていく知」が社会学

渡辺克司准教授(経済学部)

焼酎産業の未来戦略テーマ

八木正准教授(短期大学部)

自宅でCO2排出量6割削減実践中

戦慶勝教授(国際文化学部)

コトバの対照研究はおもしろい

岡田洋一講師 福祉社会学部 

アルコール依存症の全体像を探る

菊地裕幸准教授 経済学部

地域経済・行財政のあり方を研究

(1)担当科目

演習以外に、「経済法」「消費者法」「法学」「日本国憲法」を担当しています。

(2)専門分野と関心をもっていること

私の専門は経済法です。近年、関心をもってきたことは、1990年代以降に進んだ産業・金融の再編を促進するための法制度の研究です。激しい企業でのリストラや産業・企業の再編のために、実は多くの法律が制定されています。その実態や功罪を分析してきました。

また、コンビニを典型とするフランチャイズ取引問題にも関心を寄せてきました。フランチャイズとは、加盟店が本部企業と契約し、ノウハウなどの提供を受けながら、まるで支店のように営業するものです。両者間の取引関係を適正化するための法制度が充分に整備されていないこともあって、本部企業の力の濫用など、数多くの紛争が生じているのです。

(3)法を学ぶ

授業でよく、「○○するとどうなるか」「○○すると処罰されるのか」などの質問が寄せられます。法律の勉強では、こうした知識の確認はとても大事です。しかし、法は神が作ったものでも、固定的なものでもありません。法は人間が生み出したものであり、社会・経済の変転にしたがって変化していくものです。

「法の目的は平和であり、その手段は闘争である」と言われます。法とは人間社会の紛争解決のためのものですから、「法を学ぶ」ということは、現実社会で誰が闘っているのか、どのような権利や利益が侵害されたのかなど、紛争・対立の実際や原因を学ぶということです。その上で、解決のために自ら答えを作り出していくこと、それが「法を学ぶ」ことであり、その面白さだと思います。

(1)担当科目

授業科目は「音楽療法概論」「音楽療法演習」「音楽体験演習」など、音楽療法士養成科目を担当しています。音楽療法は定義づけることが困難な上、方法論が確立された分野ではないので、私自身、言葉で伝えることにはいつも苦労しますが、音楽や音楽活動があればすぐに理解してもらえるものだと思っています。ですから、授業では学生にとにかく音楽を楽しんでもらうことをモットーにしています。

(2)体験の言語化

それだけにとどまらず、「言葉で伝える」困難さにもあえて挑戦してもらう、「体験の言語化」にも力を入れています。音楽を、あるいは自分の感じたことを言葉で表現することの限界を知ってこそ、音楽の本当の価値に気付けるはずだと考えていますし、音楽療法士には音楽で起こったことの意味を言葉で伝える能力も必要だからです。そのために、学生の言葉を引き出せるような発問や学生の発言を生かした授業展開を心がけています。

(3)現在の研究

私の臨床における対象は主に障がいのある子どもですが、自閉症や発達初期の子どもがどのように音に気付き、他者を意識し、気持ちを共有していくか、そのための音楽のありようを、即興演奏を通して研究しています。最近では、前述のようないわゆる狭義の音楽療法ではなく、不特定多数に対する、言いかえれば街全体を元気にできるような音楽活動について研究したいと考えるようになりました。

(4)「街を元気に」

音楽療法を学んだ卒業生たち約20人とともに今春、「夢うたつむぎ音楽会」を開き、この取り組みに大いなる可能性を感じました。彼らの力を結集すれば、「街を元気に」も夢ではないかもしれません。

蓑毛良助教授(福祉社会学部)言語発達と愛着理論の関係考察

(1)学びの旅

私が大学に入学した時、2つの衝撃的な出来事が起こりました。ベトナム戦争とインドの大飢饉。世界に眼を向けると許せないこと、ほうっておけないことがいっぱい。「なぜ? どうして?」といった疑問が広がっていきました。平和と自由、貧困と差別がない世の中を探し求めて「学びの旅」へ。アジア・アフリカ問題から出発し、インドをフィールドに研究してきました。イギリスの支配と貧困からの解放をめざして「非暴力」を貫いたガンジーと出会い、本を出版したことがあります。30年前のことです。

(2)現在のテーマ

現在のテーマは1.イギリスのマイノリティとジェンダー2.国連のジェンダー平等政策の変遷3.日本の男女共同参画についての3つです。最近の私の生活の刺激、1つは11年前の「男女共同参画社会基本法」成立後、県や市をはじめ様々なところで活動の場が広がり学びの世界が広がってきていること。2つめに毎年国内外にフィールド調査に出かけることが楽しみで、生きるエネルギーになっているということです。

(3)担当科目と学生の皆さんに伝えたいこと

教育面について、担当しているのは「国際関係論」「少数民族論」「留学生のための日本事情」などです。2~4年生対象のゼミの名称は「国際社会学」。学生の皆さんに伝えたいこと。1.「世界が100人の村だったら大学で学べる人はわずかに1人だけ」ということ2.学んで力をつけて「世界」というフィールドで活躍できるように頑張りぬく3.3つのC=学びのチャンスをいかせ、様々なことにチャレンジしよう、そうすればチェンジできる。「ここで今を生きる、本気で」

蓑毛良助教授(福祉社会学部)言語発達と愛着理論の関係考察

(1)担当科目

私の担当科目として「発達心理学」「教育心理学」「障害児心理学」などがあり、社会福祉学科の学生を中心に教えています。講義では視聴覚教材を活用し、討論や意見発表を取り入れ、毎回の講義感想文に私がコメントを記入することで学生とのコミュニケーションを大切にしています。学生たちが主体的に学習し、学習領域への学習意欲を高めることも目標のひとつとなっています。

教育目標として、心理学を通して人間を幅広く深く学習して、それを福祉・教育分野に応用して、理論と実践を構築できる人材の養成を揚げています。

(2)現在と今後の研究

最近取り組んでいる研究は、言語発達を支える条件(身体運動生理から社会性まで)を明らかにすることと、親子の愛着がその後の人間関係に与える影響について深めることです。これらを理論と実践から確認してゆきたいと考えています。

今後取り組みたい研究は、前述の言語発達と愛着理論を基礎として、人間の生育歴・生活歴とその人の業績との関係について深めたいと考えています。

(3)学生について

私の担当している学生たちは、1年生から4年生になるにつれて、コミュニケーション能力が向上しています。それは、手話で歌ったり、対話をしたり、討論したりして会話技能を高めていることと、進路の目標を明確に持たせるようにしていることなどの要因が関係しています。現在の学生たちも卒業生も、福祉と教育に熱意を持って講義・実習・実践に取り組んでおり、特に卒業生は、県内外の福祉・教育分野でリーダーとして活躍している例も多く、喜びを感じています。

中村隆之准教授(経済学部)古典手がかりに今の経済を考察 

(1)担当科目

「経済学史」「経済変動論」「ミクロ経済学Ⅰ」などを担当しています。

(2)専門と人々の精神について

私の専門でもある「経済学史」では、過去の様々な経済学者のアイデアを学びます。経済学の古典を手がかりに、現代の問題を考えることは、とても楽しいことです。

例えば、資本主義経済を動かしている人々の精神について、考えてみましょう。実業家の典型として、明治期に活躍した渋沢栄一と岩崎弥太郎の2人を挙げましょう。渋沢は、第一国立銀行・株式取引所・商工会議所の創設者であり、数々の会社の創業・経営に携わった「実業界の父」です。本学の建学の精神「士魂商才」は、渋沢の言葉です。
一方、岩崎弥太郎は三菱財閥の創始者です。岩崎は渋沢に、協力して経済を思うように動かそうと誘いました。強者連合によって独占を形成しようというわけです。しかし、渋沢はその岩崎の誘いを断ります。実業は大勢の人が利益を得るものであり、独占して儲けるものではないというのが渋沢の持論でした。

(3)学生の皆さんへ

経済を動かす人間の精神について、アダム・スミスの洞察には素晴らしいものがありました。渋沢の倫理は『道徳感情論』に、岩崎の精神は『国富論』に実業家の常として描かれています。さて、今の日本の実業家たちは、どんな精神を持っているのでしょうか? できれば渋沢流でいてほしいのですが、どうすればそうなるでしょうか?
学生たちには、こんなことを考えながら経済学を学んでほしいですね。そして、「士魂商才」を身に付けた立派な社会人になってほしいと思います。

種村エイ子教授(短期大学部)皆が元気になる図書館めざして 

(1)担当科目とその内容

短大部と大学のほとんどの学科対象に司書と司書教諭専門科目を主に担当しています。たとえば、「児童サービス論」「学習指導と学校図書館」など。ほかに短大部、児童・人間文化学科で「児童文学」もやっています。

心がけているのは、皆で楽しく学ぶ実践的な講義です。各地の図書館をパワーポイントにした自作教材、ビデオやインターネット等を使って全国の活発な活動に触れ、自分が司書になったつもりで、読み聞かせやブックトーク、アニマシオンを実演、「図書館だより」や図書館ホームページの作成、本を手作りする製本実習などに取り組んでいます。現場で優れた実績を重ねている先輩をゲストに招いた講義や2週間の図書館実習(短大部のみ)は、楽しくて役立つと好評です。

(2)専門について

私の専門は、「児童サービス」。この十数年は、子どもたちが自分の命に関心を持ち、図書館の力を実感する「ブックトークによるいのちの授業」の実践と研究 を続けています。鹿児島は読書運動の先進地。今年は、椋鳩十氏が提唱した「母と子の20分間読書運動」50周年。それ以前に本学名誉教授の中野哲二先生が かかわっておられた「農業文庫」の活動があります。

(3)今後の研究課題

本来、図書館は誰もが豊かに暮らすための地域情報拠点です。残念ながら最近は厳しい地方財政のもと、民間委託が進んでいます。しかし「ピンチはチャンス」とばかりに指宿市では本学卒業生中心のNPO法人「そらまめの会」がすばらしい図書館運営を展開しています。顧問としてのサポートも私の研究課題です。

中園聡教授(国際文化学部)総合的新領域の考古学確立へ 

(1)担当科目

国際文化学部と大学院国際文化研究科で、考古学・博物館学に関する科目を担当しています。

(2)大学という場所

大学という所は、世の中の諸現象に疑問を持ち、分析・理解し、働きかけるチカラを得るための〝道場〟です。背伸びをすると自ら追いつく―そういう潜在能力が学生には備わっていますので、学部生には基礎だけでなく、先端的で難解な理論も教え、場合によっては学会発表さえさせます。それらを通した小さな悟りや気付きの連続は、人生を生き抜く本物の力となるはずだからです。

(3)研究について

誰かがやる研究より、皆を「あっ」といわせる新しい研究が使命です。発掘調査も好きですが、国際と学際、つまり国や学問の垣根を越える研究にも傾倒しています。一つは、心の仕組みを鍵として過去を読み解く認知考古学。もう一つはフィジーやタイでの土器製作の民族調査。そして科学研究費による土器製作者同定法の開発。また、蛍光X線分析による土器の産地推定にも長く携わってきました。課題は、人文科学・社会科学・自然科学を融合し、人間の真の理解を目指す総合的新領域としての考古学の確立です。

(4)ゼミ生について

いま春休み中ですが、学部2年生から大学院生まで20人以上のゼミ生が大学に毎日来て、考古学実験室で熱心に研究や作業をしています。いつもこんな調子ですが、自主的な場で互いに刺激し合うことで知識・技術はもとより、マナーやコミュニケーション力など総合的な人間力が養えるようで、専門分野に限らず、一般企業への就職率の良さとなって表れています。

岩井浩英准教授(福祉社会学部)子どもたちの「最善利益」追求

(1)担当科目と専門分野

児童学科の保育士養成課程における子ども家庭福祉および保育実習の関連科目のほか、教職課程科目「教育福祉論」も担当しています。

研究・実践面においてはこれまで、「教育と福祉における子どものウェルビーイングの追求」との問題意識のもと、今を生きる全ての子どもたちの「最善利益」保障・擁護のために、「家庭―学校―地域」ベースの教育福祉的支援の実現を図りたいと考えてきました。とりわけ、学校ソーシャルワーク(SSW)とは、その一環をなすものです。鹿児島県でも、国の事業を受けてのSSW導入となりました(2008年度~)。

(2)現在の活動

私は目下、本学の同僚らとともに、各受託市町の事業実施等に対するネットワーク的な後方支援を行っています(かごしま学校ソーシャルワークを進める会)。

また、趣味も兼ねて、インターネットを通した「子どもの教育福祉」の実践的追究のために、自作サイト(岩井ネット研究室ホームページ)を立ち上げています。先述した「進める会」の専用クリップも本サイトに設置していますので、ぜひ一度、アクセスしてみてください。

http://www.iuk.ac.jp/~iwai/offiwai/

(3)今後の研究について

私自身は日ごろ、研究者を意識しつつも、学生に対する福祉教育を担い行う者であることも強く実感しています。さらに、地元のSSW推進の取り組み等を通し、ソーシャルワーカーの自覚がより確かになってきました。これらの専門職性の統合こそ、私たちの「より良い育ちを追い求める」ことに資するものと確信します。

     

大久保幸夫教授(経済学部)ICT使い、eビジネス実験

(1)担当科目とその内容

情報システム、計画数学などの授業を担当しています。情報システムではその基礎からeビジネスなど、社会や企業の情報システムについて講義しています。計画数学では統計分析や数理的な考え方を使い、経営に関する意思決定の方法についてパソコンを使い指導しています。

(2)現在の研究と取り組みについて

今取り組んでいる研究は、数列の分布関数の性質を調べる研究です。乱数のように一様に散らばっている数列について統計数学を用い研究しています。また、シミュレーションの経営問題への応用研究にも取り組んでいます。

地域創生学科に移り地域の問題にも関心を持つようになりました。最近ある店舗の協力を得てネットショップを立ち上げました。なかなか売れませんが、ゼミの学生たちと商品の写真を撮ったりどうしたら売れるかを考えたりしてeビジネスについて実験しています。地域おこしの強力なツールとしてICT(情報通信技術)は欠かせません。これからもICTによる地域活性化について学生たちと一緒に考えていきたいと思います。

地域創生学科は来春初の卒業生を出します。厳しい就職戦線の中、4年生は健闘しています。彼らが積極的に地域とかかわったことが内定好調の一因といえるかも知れません。宇宿商店街でチャレンジショップを経営したこと、よさこいサークルを作り各地の祭りに参加したことなど、実践的な活動を通して1期生は地域の問題を考えコミュニケーション能力を身につけてきました。これからも様々な地域の活動に参加し、大学生らしい提案を行える学生に育てていきたいです。

     

松原武実教授(短期大学部)郷土に眠る民謡・芸能を研究

(1)担当科目と専門分野

音楽科では音楽史や民族音楽概論などさまざまな講義関係科目を担当していますが、専門は九州から沖縄の民謡・芸能の研究です。

(2)残されなかった伝統文化

わが国の村や町には古くからの伝統的な歌や踊りがたくさんありました。しかし、明治政府はこれらを欧米の文化に比べて価値の劣ったものとして排斥しました。方言も使わないように指導し、これは第二次大戦後まで続きました。そのために口承による多くの文化が、何の記録も残さないまま消えていきました。

今ではそうした文教政策が間違っていたことは誰の目にも明らかですが、明治期、いち早く庶民の伝統文化の価値に気づいたのは、何と外国人だったのです。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)といえば学生の皆さんもどこかで耳にしたことがあるでしょう。前後して柳田国男による本格的な研究も始まりました。

(3)鹿児島の郷土芸能

鹿児島にも素晴らしい郷土芸能があります。最近は村人もその価値を認識していますが、過疎と少子化による踊り手の減少が心配されます。こうした文化は、意識しなければ目にも耳にも飛び込んできません。隣の村にあっても知らないし、自分の集落にあるのに気づかない人がたくさんいます。

地域おこしが盛んです。イベントをするのも結構ですが、まず自分たちの村や町にある文化遺産、生活と密接に結びついて展開してきた文化を知り、発見することが重要だ、という認識で関係の講義をしています。郷土の文化に対する感度のいいアンテナを身に付けてもらいたいということです。

野中哲照教授(国際文化学部)古典文学読解から教養の本質迫る 

(1)専門分野と担当科目

専門領域は日本の古典文学で、ゼミでは『源氏物語』を、講義では『平家物語』を語っています。これらの文学教育を通して、深い洞察力や豊かな想像力を鍛えることを目標にしています。

(2)本当の意味での教養とは

文学作品は人間社会の縮図なので、これを通して社会的背景と人間心理の相関や、時代の推移による人間心理の変化を読み解くことができます。表現の点と点を結んで線にし、線と線を結んで面にしてゆく作業は、「見えた」「読めた」と感じた時に、無類の面白さを感じるものです。そればかりでなく、この解読作業は、教育的意義をもつものでもあります。将来、営業マンになろうが主婦になろうが、状況を読み、相手の心を読み、先行きを読むという「読み」の力は、もっとも重要な能力です。

このように、知識ではなく本当の意味での教養を身に付けさせ、「モノが見える」学生を育てたいと思っています。昨今は資格・技能の重視、実学への偏重の時代ですが、それに抗して、教養教育の重要性を訴えていきたいと思っています。

(3)今後の研究

研究者としては、自らの限りある寿命を意識しつつ、「自分がやるべき研究」に使命感を感じています。つまり、自分が解明しなければ今後数百年はこれに気づく学者は現れまい、という開拓者的な研究を意識しています。

ですから、他の研究者と同じ土俵に立って論争するとか、先行研究の土台の上に次を積み重ねるようなことは、ほとんどありません。孤独な研究者です。『大鏡』『今鏡』のような歴史物語、『保元物語』『平家物語』のような軍記物語など、中世の歴史物語や軍記を研究しています。

福祉社会学部佐々木陽子准教授 「境界を超えていく知」が社会学

(1)専門分野

私の専門分野は社会学で、演習等を除いた担当科目は家族社会学と社会調査論です。教員と研究者という二つの役割のより良い関係を築くよう努めたいと思っています。というのは、教員自身の学ぶ姿勢が、授業の濃度に必ずやかかわってくると思うからです。

戦時に鮮明化する「ナショナリズムとジェンダー」の関係を研究してきましたが、今後更に研究を深めたいと思います。現在、最も関心があるのは、社会学・民俗学・宗教学など多くの領域が重なり合う「死生観」にまつわる問題群です。家族をはじめとする親しい死者をどう記憶し続けていくかを「かげ膳」習俗から問いかけるテーマは、やっと一段落ついたところです。

(2)現在の研究について

研究を開始したばかりなのが、「棄老物語」を扱った戦後の3つの文学作品の比較を通じて、「死生観」を読み解く課題です。「死生観」にかかわるテーマを扱うことは、私たち人間の生命が有限であるのに対し、時間が無限であることに関わる「時間のニヒリズム」をどう乗り越えていけるかを問うことでもあります。

社会学が「学際的」といわれるのは、多様な学問領域に触手を伸ばすからです。時にはそれゆえに、うさん臭く思われもします。しかし、学問領域の境界を超えてしまうのは、思考を禁欲しない結果だといえなくもありません。

(3)学生の皆さんへ

知る、考える、感性をみがくことを惜しむことは、私たちが「無邪気な差別者」になる危険を背負い込むことでもあり、このことを学生の皆さんに考え続けてほしいと願っています。

渡辺克司准教授(経済学部)焼酎産業の未来戦略テーマ

(1)担当科目

私の担当科目は「食料経済論」「農業経済論」「経済特講Ⅰ(協同組合論)」「経済調査実習Ⅰ・Ⅱ」「情報処理演習A&B」です。専門は農業経済学・協同組合論ですが、学生の関心が農業というより食の安全・安心など食料問題にあり、講義内容もこうした学生の知的関心に応じたものにしています。

「経済特講Ⅰ(協同組合論)」では、協同組合の歴史から現在多様に展開している農協、漁協、森林組合、生協・医療生協など対象に講義をしています。「経済調査実習Ⅰ・Ⅱ」では、学生が決めたテーマにそって調査研究をしています。

(2)授業やゼミについて

まず授業では、第一に受講学生を眠らせない、緊張感をもって授業に臨むようにしています。第二に毎回出席をとりながら1週間にあった食料・農業関連の新聞記事の紹介とその記事についてのコメント、前回授業の報告を義務づけ、受講生と双方向的な授業となるよう工夫しています。

「調査実習」やゼミでは、学外に出て「現場」の実態、「現場」からの発想・問題意識を重視し、次いでテキストを中心に学習しています。焼酎ブームの影響もあって、ここ何年間は焼酎産業の未来戦略や焼酎の流通・消費構造、原料芋の調達構造などがテーマとなっています。

(3)今後の取り組みについて

2009年度は焼酎業界関係者の今後の意向と焼酎ブームの火付け役となった20~30代の女性を対象にしたアンケートを行う予定でいます。学生のアンケート調査とはいえ、焼酎産業の今後のあり方について何か提言、貢献ができればと思っています。

八木正准教授(短期大学部)自宅でCO2排出量6割削減実践中

(1)担当科目

「生活と環境」「くらしとリサイクル」などの授業を担当しています。学生たちには、現実世界のしくみなどについて、DVDなどの視聴覚教材も使い、楽しく学びながら、実生活にも役立つ知識・理解を身につけ、問題意識を持ってもらおうと考えています。

(2)取り組んでいる研究

自宅に、太陽光発電やOMソーラー、雨水タンク、コンポストボックスなどを取り入れて、二酸化炭素排出量6割削減に実践的に取り組む一方で、持続可能な循環型社会をどう実現するかを、最近の研究テーマにしています。

近年、日本では「リサイクル社会」をめざして、多くの法律が制定・施行されましたが、リサイクルが進めばよいというわけではありません。たとえば、容器包装リサイクル法(容リ法)が1997年に本格施行されて以来、それまでほとんどリサイクルされていなかったペットボトルの回収率は、現在約3分の2にまで上昇しました。しかし、生産量も3倍以上に増えたので、ペットボトルのごみの量は容リ法以前よりも増えています。また、リサイクルされたものの多くが中国やベトナムに「輸出」されています。

再資源化を意味する「リサイクル」よりも、「リデュース」(減量)、「リユース」(再使用)を優先する原則を築く必要性がますます明らかになりつつあります。こうした原則は、ドイツなどの環境先進国からだけでなく、江戸時代の日本などからも学ぶことができます。

これらの事例から様々な教訓を得ながら、将来、循環型社会の主体となって活躍する学生を育てたいと思っています。

戦慶勝教授(国際文化学部)コトバの対照研究はおもしろい

(1)担当科目

私の担当科目は対照言語学です。目下は日本語と中国語の対照研究に取り組んでいます。

(2)対照研究の必要性

なぜ対照研究が必要なのか、と言えば、外国語(第二言語)の学習にあたって、ある事象について母国語(第一言語)では、ひっくるめて一つにまとめて表現し、外国語では細かく区分して表現する場合、外国語の意味は把握しにくく、逆になると把握しやすいからです。

ある社会共同体にとって日常生活と密接な関係のある現象ほど、それをきめ細かに具体的に描写する傾向があります。たとえば、中華料理は火を通して作るのが基本ですから、「火を通す」という事象を表す動詞は30前後あります。それに対して日本語では「火を通す」という事象を表す動詞は「煮る」「炒める」「焼く」「ゆでる」「蒸す」くらいでしょう。

一方、日本語の人称代名詞は他の言語にあまり例のないような特徴を持っています。具体的に言えば、日本語の会話や文学作品では、特定の人称代名詞を使うだけで、人間関係・性別・年齢などを説明なしに表すことができます。「あなた」「きみ」「おまえ」など、日本語はなんと便利な言語だろうと、外国人のわたし(おれ?わし?)が思ったことがあります。現代中国語の一人称代名詞は〝我〟だけです。英語もmeを除いて I だけでしょう。

外国語の勉強はおもしろいです。外国語の研究もおもしろいです。研究のために勉強している学生はぜひ研究室(7号館409室)にお越しください。いっしょに議論しましょう。

岡田洋一准教授(福祉社会学部)アルコール依存症の全体像を探る

(1)担当科目

担当教科は精神保健福祉領域の科目です。精神保健福祉領域といっても日ごろ、使われないのでわかりにくいかも知れません。「脳の病気」や脳には異常がないけれどストレスなどからくる「こころの苦しみ」に対する福祉的支援を学びます。科目としては「精神保健福祉論」「精神保健福祉援助技術論」などです。

私は、「困難と希望が人を成長させる」というポリシーを持っています。社会は理不尽や矛盾、不正義に満ちています。しかし、その理不尽さや矛盾を解釈しながら少しでもそれらを正しつつ、希望を見出すことが大切なのではないかと思っているのです。

(2)取り組んでいる研究

最近取り組んでいる研究は「アルコール依存症者への回復支援」です。アルコール依存症になることによって生活や人生がどのように損なわれていくのか、そしてそこからの回復支援はどのように行われているのかを明らかにしたいと思っています。

(3)今後取り組んでいきたい研究など

今後、取り組んでいきたい研究は「嗜癖問題と家族」です。嗜癖とは、自分を損ない始めているとわかっているのに強迫的にその行為を続けることです。アルコールやギャンブルなどをコントロールできなくなってしまうことを指します。そして嗜癖問題は社会的環境やその人の生い立ち、家族関係と深くつながっていきます。

教育に関しては、様々な困難に向かい合いながらその困難を解釈し希望を見出すことができる学生を育てたいと思っています。正確にいうなら学生とともに育ちあいたいと考えています。

菊地裕幸准教授(経済学部)地域経済・行財政のあり方を研究

(1)担当科目

私の主な担当科目は「財政学」「地方財政論」「鹿児島論」です。「財政学」では国の財政問題、「地方財政論」では鹿児島県をはじめとした自治体財政の問題、そして「鹿児島論」では鹿児島の経済や行財政の歴史・特質・課題などについて講義しています。

(2)教育面で留意していること

わかりやすい授業、問題意識を養いうる授業、そして学生と信頼関係を築くことのできる授業を心がけています。また、ゼミナールでは専門的知識を教授するのはもちろんですが、学生同士で積極的に議論、発表を行うことによってコミュニケーション能力を高め、社会に出て活躍できる人材を養成することを目指しています。ゼミ生同士の親睦を深めるため、毎年屋久島や霧島などでゼミ合宿も行っています。

(3)取り組んでいる研究など

私は地域の経済や行財政が持続的・自立的に発展していくためにはどうすればよいか、ということに強い関心を持っています。鹿児島は風光明媚、温泉天国、食材も豊富で安心安全、治安もよく、人情も厚いなど、多くの素晴らしい魅力や個性を有しています。その一方で、相対的に弱い経済力、過疎化・少子高齢化の進展、離島問題など、「地域問題のデパート」とよばれるほど様々な問題を抱えていることも事実です。鹿児島の魅力や個性を保持しつつ、これらの課題を克服していくためにはどうすればよいか、ということについて今後さらに研究を深めていきたいと思っています。

学部

大学院

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