音楽文化テーマにシンポジウム開催

井手口講師出版記念

基調講演する井手口彰典講師福祉社会学部の井手口彰典講師がこのほど単著『ネットワーク・ミュージッキング』を出版し、これを記念するシンポジウムが12月5日、本学図書館4階視聴覚ホールで行われた。現代社会学科の専門科目「現代社会論」の一環でもあり、現代社会学会が後援。

まず井手口講師が「モノとしての音楽・情報としての音楽」と題して基調講演。聴きたい時、聴きたい場所でネットワークにアクセスし、膨大な音楽のなかから瞬時に情報を取り出して楽しむことができるようになった現状に触れ、「レコードやCDのジャケットを『モノ』として楽しむ価値観が薄れ、形のないデータだけで音楽が広がっていく」と解説。21世紀に急速に普及した技術により「何を持つか」でなく、「何を参照するか」という新たな行動様式に基づく音楽聴取の本質を「ネットワーク・ミュージッキング」という造語で説明付けた。

シンポジウムの様子シンポジウムでは、パネリストに鹿児島大学の井原慶一郎准教授(表象文化論)、イラストレーターの大寺聡氏、作編曲家の平田みずほ氏の3氏を迎え、司会は本学国際文化学部の小林潤司教授が務めた。井原准教授は「モノとしての音楽(複製の時代)」「情報としての音楽(参照の時代)」を比較し、音楽体験の深さでアイデンティティに違いが生じ、自我の形成にも大きな影響を及ぼすのではと分析。

平田氏はネットワークをフル活用し、鹿児島にいながらアーティストへの楽曲提供やNBA、世界バスケットボール等のイベントの音楽演出を行っている現状やエピソードを紹介。

大寺氏は、画像処理ソフト「フォトショップ」のPSD形式と圧縮されたJPEG形式の画質の比較を例に、「音楽も本物の音源とネットワークで流通している圧縮された音楽では、違いが歴然としている。もっと本物に触れて欲しい」と話した。

音楽好きの識者らによる多角的な議論は白熱し、錯綜する現代音楽文化への関心の高さがうかがえ、聴講した本学の学生や一般市民ら約100人は熱心に聞き入っていた。

 

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