講義の新しい"姿に期待"

6000ccに点火:No.6(2004/10)

「若手Ph.D採用へ」

鹿児島国際大学は来年秋から、外国・日本で博士号をとった新進の研究者(Ph.D=Doctor of Philosophy)を期限付きで採用することにしています。期限は3年(最長5年)、肩書は講師。他の大学にない制度ですので、その趣旨と内容を紹介します。
国内であるいは外国で博士号をとったものの、就職先を見つけるのに努力している研究者はたくさんいます。本学はその方たちに3年間勤務する機会を提供し、研究の出版と本学での授業と研究者相互の「切磋琢磨」に貢献してもらいたい。これがこの制度のねらいです。
採用される教員は任期中に、(1)講義(演習を含む)を通年4コマ(2)国際的な学会誌に2本以上の論文を発表する(3)毎年学会で報告する―という仕事をしなければなりません。期限付きでないふつうの教員でもできないことではないか? そう思われるかもしれませんが、博士号を取得し、その最新の研究を公刊して世に問うという情熱に満ちた若い研究者が、応募してくれると期待しています。

 はじめて先生として講義するのだから、教育は「素人」だという懸念があるかもしれません。しかしその懸念は少ないようです。欧米では、それから最近の日本でも、学位論文を書きながら、大学院の学生たちはティーチング・アシスタント、リサーチ・アシスタントとして「手当」をもらい、学生たちを教えるのが普通です。
国あるいは大学によっては、教職につく予定の大学院生の「講義」に指導教授が出席して、「教授法」を指導するというシステムもあります。外国の大学は平均して、日本よりも、教育にも強い関心を払っています。したがって、教育は「素人」という懸念はあたらないと思います。

 わたくしはもっと積極的な見方をしています。このように教育にも熱心な風土を持っている大学で育った若手研究者は、講義の新しい姿を受講者に、あるいはわたくしたち教員にみせてくれるのではないか。本学は4月から「パイロット授業」(公開実験授業)を行っています。前期の「パイロット授業」を振り返ってみて、この実験から、授業公開を全学的に行うべきであるという強い示唆をわたくしたちは受け取っています。
若手Ph.D取得教員が就任する来年の秋には、非常勤講師による授業をふくめて、全学的な授業公開が実施されているでしょう。彼らの授業を参観して、わたくしたちは、もっと多様で優れた工夫のある授業のあり方を学べるのではないでしょうか。
ところで現在わたくしたちは英語を母国語とする講師の英語による講義を広げようと考えています。英語圏で学位をとった若手研究者に、日本人ではあるけれど、英語による講義をしてもらうのもいいと思います。

この秋にはインターネットで公募を始めます。応募者は世界各地にいるからです。インターネットを使った公募も本学では初めてです。応募者の審査をどのように組織するかはこれから協議しますが、本学の若い研究者たちが審査に加わることになるでしょう。
担当科目は普通の採用人事とことなり、ゆるやかな指定になります。たとえばマスコミュニケーション論というように限定するのではなく、学部にある学科の名称(たとえば経営、現代社会、国際文化など)に相当するおおまかな指定で、募集し審査します。
優れた若手研究・教育者をどれだけ迎えることができるか、また受講生をどれだけとりこにする講義が行われるのか―来年の秋を楽しみにしているところです。

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