学生の関心の高さ励みに

6000ccに点火:No.5(2004/9)

「全学シンポジウム」

パイロット授業が始まったのが4月、それから90日が過ぎます。わたくしもできるだけ多くの公開授業に出席するように努めました。また1カ月ごとに開かれた意見交換会の討論に参加しました。
そこで90日間の活動を中間的にレビユウーするために、7月24日に「全学シンポジウム」が開かれました。会場の411教室がほぼ満席です。パイロット授業に対する関心の強さを知ることができました。
一連の活動を企画・実施された大学改革検討委員会、とりわけパイロット授業のプロジェクトを担当された田畑洋一先生(福祉社会学部)、菅井憲郎先生(経済学研究科)および総合企画室のメンバーに感謝します。
パネリストの報告内容は、前号に紹介されたので省略します。ここでは出席した学生たちの質問に注目します。

3人の学生(国際文化研究科、福祉社会学部、国際文化学部)が質問しました。
(1)受講している科目について、どこまで到達すればいいのか、その目標を授業の中ではっきり示して欲しい
(2)FDパイロット授業に参加して、これからの授業改善に役立つと思うか
(3)学生が意欲的に授業を受けるのは、授業の内容が面白いからである。出席でしばられている授業には、本当は出たくない。
最初の質問は大学院生にふさわしいことを尋ねています。学部学生のころと違い、大学院生は自分の研究水準を高めるために努力をします。当然のことながら自分が指導を受ける指導の水準、受講している科目の水準が気になります。若い研究者あるいは研究者の卵として、目標として励むべき標準を知りたいのです。パネリストの先生方はいずれも学部授業の改善に関心を持ってこられたので、この質問に対して本格的に答える用意はありませんでした。これも当然のことです。
そのなかで野中哲照先生(国際文化学部)が、学部の日本古典文学の講義で、「自分はクラスの下位の学生を念頭において講義をデザインしている」と述べておられました。明確な意思に感銘を受けたのは、わたくし一人ではなかったと思います。こうしてwhatとhowが見事な表裏になっているのですから。

(2)の質問には、発せられた時から緊張しました。5人のパネリストの返答次第ではパイロット授業という実験に託した意味と期待が崩壊するからです。学会や学会誌に研究を公開することで、同僚の批評や励ましを糧に、さらに研究を発展させることができるように、教師としての能力についても、その現場を公開することで教授能力はより高くなる。わたくしは基調講演でそう言いました。自分の講義を参観する同僚の意見、同僚の講義を参観することでえられる刺激。5人のパネリストは異口同音に、授業公開が可能にした相互啓発を確認する回答をしておられました。
出席で縛って欲しくない、授業内容を面白くしてくれ―(3)の質問もまた明快です。科目の受験資格は出席日数が3分の2以上となっているから、ある「縛り」はあります。質問の趣旨は、出席日数にうるさくて授業は面白くない、こういう状態を変えてくれという切実な要望でしょう。講義を魅力的にすることがパイロット授業のねらいですから、この要望は教員に対する励ましであると思いました。

シンポジウムでは質疑応答に加えて、アンケートによる意見を求めました。全学シンポジウムを開催してよかったか、という質問に全員「はい」と答えています。また授業のあり方についての要望として、学生の私語について叱るだけでなく集中できるような授業の工夫をして欲しい、大教室の授業ではなく小規模教室での授業にして欲しい、1、2度授業を受けてから履修登録するようにして欲しい、大事なことを集中して教えて欲しい、先生方に授業についての思いを伝えられる機会を設けて欲しいなどの意見・要望が記されています。
パイロット授業はこれらの課題に真正面から向き合ってきました。そして授業公開が全学的に展開されるべきことを、これらの意見は望んでいると考えねばなりません。

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