基礎学力は必要か
『学習』成果の検証へ本腰
本学は『ウォーミングアップ学習』(AO・推薦入試合格者対象の入学前教育)を昨年から実施しています。国語と英語について、基礎的な読み取り・表現の力をつけるのが目的でした。初年度は予告の期間がほとんどなく、学習に関心を持ち、参加した高校生は多くありませんでした。
しかし今年の参加状況をみると、5回行う学習の初回回答率が全体の77・8%、最終回(5回目)の回答率が37・1%と驚くほど上昇しています。
また「学習に取り組んでよかったと思いますか」という質問に対し、課題に半分以上取り組んだ学生249人のうち85・5%が「取り組んでよかった」という答です。アンケート調査の概要は、先月号「みなみ風」に載っています。
「学士課程教育の質の確保」という問題がこの数年来論議されています。最大に見積もっても5年前まではなかった論議です。
(1)学生の大学選択が国際的になっていること(大学の国際的競争) (2)少子化による入学生の減少を食い止めるため、本来別の目的を持っていたAO・推薦入試が「筆記試験のない入学試験」として用いられる傾向が、国立・私立を問わず強くなったこと、などが理由です。
本学もAO・推薦入試を行っています。最初のAO入試は10月です。AO・推薦入試の合格者たちが大学教育(学士課程教育)に適合できるだろうか。それを懸念して、AO・推薦入試合格者を対象に『学習』を始めました。
センター入試のような制度ができて、基礎学力を保証するという時代が来れば別ですが、それはいつのことかだれにも読めない状況です。『学習』に踏み切ったのは、そういう背景からです。
著作権付の出題は国語1人、英語1人の教員。ひとりの教員の出題は、来年出版されると聞いています。
添削指導は全教員。「問題」「解答」「添削」の高校生・教員間の流通を担当するのは総合企画室。外部の教育コンサルタントに丸投げするのではない、全国にも珍しい実験です。
6月の保護者懇談会にみえた保護者のひとりが、「学長面談」の折、『学習』がご子息に与えた影響を語っておられました。冒頭のアンケート調査とならんで、順調な経過を喜んでいます。
しかし、わたくしたちの実験はこれからが正念場です。『学習』に参加した学生たちの大学におけるパフォーマンスを、少なくとも最初の『学習』生が卒業するまで、研究調査する。すでに調査の設計・分析を担当する研究者を加えた新チームができました。秋から来年の調査に向けた本格的な活動が始まります。
