格好いい呼び名はどっち?

6000ccに点火:No.58(2009/02)

サツマイモと唐芋

カライモを「サツマイモ」と呼ぶのが格好いいか、「唐芋」と呼ぶのが格好いいか。どちらですかと聞かれたら、校庭は一面カライモ畑になった小学校(当時は国民学校)育ちのわたくしでさえ、サツマイモだと答えたことでしょう。恩知らずにも。第2次大戦戦中・戦後の困窮を支えてくれたにもかかわらず、困窮にともなう恥みたいな感情が、カライモという呼び名を避けるのでしょうか。

同じ質問を新宿の若い女性と鹿児島の若い女性にする。新宿組は、「唐(から)」は外国を連想させ、カラーの華やかさを伝えるが、サツマイモといえば「大学芋」つまり焼き芋を連想してダサイという。

これに対して鹿児島組はサツマイモ。唐芋はカライモで格好悪いという反応。これはフェスティバロの郷原茂樹さんが、カライモケーキのネーミングを調査するときに体験された話です。ケーキは鹿児島ではなく都会で売り出す戦略が正しいと郷原さんは考え、名前は「唐芋レアケーキ」になりました。

郷原さんには昨年12月から年始にかけて、本学のオムニバス講義(経済学部地域創生学科)に講師として来ていただきました。タイトルは「鹿児島とはなんだろう?」。わたくしも3回聴講し、講義の後でも郷原さんのカライモ構想をうかがえて、幸いでした。

果たしてケーキは羽田をはじめ主要空港で販売され、客室乗務員の人気を呼ぶ。また東京・大丸を手始めに主要デパートでも取り扱われるようになり、そして鹿児島でも知られるようになった。

原料のカライモが直営農場産であることも評価され、戦略は成功したのでした。新千歳経由で訪ねてこられた東北の方から、フェスティバロのケーキを土産にいただき、わたくしは驚いたことがあります。

ウルグアイラウンド関税交渉(1986年)の結果、鹿児島のカライモ農家はデンプン市場の縮小に大打撃を受けました。トウモロコシのデンプン(コーンスターチ)が大量に輸入されたからです。

いま地球温暖化・人口の増大に伴う世界食糧生産の危機、カライモは気候変動に強いことに注目して、国連は「いもの日」を定めています。郷原さんはカライモ世界基地「唐芋パビリオン」を鹿屋に作りたいと思っておられるようです。

米国、中国、韓国などから、カライモを中止に産業の結合を探る見学者たちが、多いと聞きます。ローカルでありながらグローバル、あるいは「カライモ」でありながら「唐芋」。この営々としたグローカルな構想に、わたくしたちも学ばねばなりません。

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