「迷い」から学ぶ生き方の解
学生論文コンテスト(1)
11月13日は旧暦の名月、冷え冷えとした光が海を照らしていました。ようやくにして秋です。森の音楽祭、大学祭、秋はいろいろな行事のあるキャンパスです。学生論文コンテストも秋恒例の行事の一つで、先日、学長賞を含む4点の作品が応募20点から選ばれました。秋晴れの11月22日、森のウッドデッキで授賞式が行われました。
「わたくしにとっての『大学』とは」。これが今年の指定論題でした。受賞者4人はいずれも、この論題を選んだ学生たちです。決定後、4論文を読みました。
はからずも4論文は、自分を探し求めるそれぞれの旅です。青年期特有の「放浪」のただなかにあるか、あるいはそれを一段落経過した若者たちのしなやかな強靭さ。学生たちが大学生になって迷いながら発見していく多様な風景を教えられました。
Aさんは本学に進学できる状況ではなかった学生です。経済的な理由です。Aさんの境遇からすれば、「義務」という窮屈な視点からものごとを判断しがちです。したらいけない、せざるをえない、という思考の型です。進学も「したらいけない」ことだったでしょう。中国インターンシップから帰国した友人たちから、中国の大学生の考え方を聞きます。彼らの考え方が、自分と違うことを知ります。おそらく義務という次元では考えられない、彼らの闊達な学習姿勢に啓発を受けたのでしょう。
さらに決定的な思考・意識の変化が始まるのは、宇宿商店街のイベント参加です。2年生による企画に1年生として昨年、参加・体験するのですが、「人から言われて始めた活動だったため愛着がなく、責任もなかった」。
しかし今年7月、2年生十数人で、鹿児島の大学生交流を目的にしたイベントを、すべて自分達だけの「責任」でやり遂げてから、大学という期間は、「責任」「自己責任」の意識をつくる場所と認知するようになりました。「義務」から「自己責任」の世界への飛躍。
現在Aさんは中国インターンシップに行けなかったことを、行ってはいけなかったと「義務」の視点からではなく、親に借金してでも行くべきであった、それは「自己責任」である、と反省しています。
このコラムは「6000㏄に点火」というタイトルです。名前の由来はベンツの購買者にメカニックが与える助言です。「1、2週間の間、180㌔で走りなさい、機械のかみ合わせがあるから」。40、50㌔で走っていると、いつかベンツの能力は失われる。
青春は6000㏄のエンジン。Aさんはエンジンを全開する生き方、自己責任の思考にたどりついています。
