大学の個性が時空越える
Moodle
不明にも初めてこの言葉を聞いたのは、夏休みが始まるころだったでしょう。世界70カ国で広く利用されている、eラーニングのソフトウエア。しかも無料でダウンロードして利用できるすぐれモノといわれています。
先日、鹿児島大学にうかがい、どういうものか学ばせていただくことができました。夏に初めて聞いたときはムードルだったかヌードルだったか心元なかったのですが、はたして多くの人がそうらしく、説明してくださった鹿大の先生は「ヌードル」ではありませんよ、と注意を引いておられました。
鹿児島大学は平成20年度文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」に選ばれました。「鹿児島はひとつのキャンパス―地域のリーダー養成のための大学連携と総合教育の構築」。これが事業の主題です。
大学連携という枠組みなので、県下12の大学・短大と高等専門学校が参加します。大きなプロジェクトですから、県をはじめとする関係自治体、商工会議所、経済同友会などの関係経済団体も参加しています。
10月中旬、第1回の「推進会議」が開かれ、時を追ってグローカル教養教育、高等教育連携、地域ぐるみ教育、ICT活用など、各種の「推進委員会」の活動が始まる予定です。
鹿児島では10年も前から大学間で「単位互換」を行い、教育の水準を高める事業が行われてきました。残念ながらこの事業に参加したのは、年に5、6人の学生だったそうです。
無理もありません。広く分散している大学の立地を考えると、大学間を移動することは難しいと考えざるを得ません。県下1万人に近い大学生たちにすれば、利用不可能な事業でした。
ムードルと「MediaDEPO」というビデオソフトを使えば、他所の大学の講義をオン・デマンドで視聴することができます。また質問や応答をネットで交換することももちろん可能。素晴しい学習環境ができることになります。
そういう授業を構築すれば、大学の個性はどうなるのか、消えていくのではないか。メンバーの委員と陪席した記者から発言がありました。
SFのような情報化社会の極致に向かうのでしょうか。わたくしはそう思いません。ムードルで本学の学生が他大学の優れた講義を受講する。また他大学の学生が本学の優れた講義を聴講する。これが立地と時間の制約を越えて、可能になるのですから、学生にとっても教員にとっても、競争と協調の空間が生まれるでしょう。
大学の個性は、この空間の中で光を放つものでなければなりません。
