「夢の共有」が成功のカギ
カフェを作る苦心
帰省してたまたま見た地域のニュースで、京都・伏見大手筋商店街の一角に「パオパオ」という店(?)があることを知りました。象の親子を描いた入り口の看板に「もうひとつの実家」と書かれています。
建物は、間口は狭いが奥に長い京の町家を改装したものでしょう。入り口から少し歩いた奥の部屋では、赤ん坊・幼児を連れた若い母親たちが10組ほど円座になり(子供たちが動けるように机・いすはありません)、それぞれに話を交わしています。隣の部屋では金物屋のおかみさんが、圧力鍋で豆やおせち料理を作る講義をし、子連れの主婦が何組か聴き入っていました。
パオパオの運営は商店街が行っています。孤立した暮らしになりがちな若い主婦たちに、「もうひとつの実家」空間を提供し、あわせて商店街の利用・活性化を図る。これが商店街のアイデアです。だれでも素晴らしいアイデアだと思います。わたくしもそう思いますが、それでも実施にいたるまで曲折があったと想像しています。
だれかが思いつくことと商店街として実行することの間には、思いつきを(実施に移す前に)検証する作業が必要だからです。いいアイデアだと安易にいうとき、わたくしたちはこの検証作業のたいへんさ・大切さを忘れてしまいがちです。
この活動を維持するのにかかる費用、何組の若い主婦が関心を持つか?商店街の活性化につながるか?意見の食い違いは必ず出てきます。
効果を数字で示せないとなれば、費用がかかるだけではないか。いや数字で示せないとしても商店街は地域に貢献する社会的責任もある。ニュースでは触れられていませんが、そういう協議が行われたはずです。
ニュースに関心を持ったのは、キャンパスに「森のカフェ」を開くという思いつきの後、その経営が持続可能であるかを事前に「検証」する作業を、わたくしたちなりにやってきたからです。具体的にはプロのカフェ、ベーカリー経営者、NPOによるコンソーシアムの組織者などを訪ね、「森のカフェ」の持続可能性を検討しました。
持続する可能性はきわめて高く、経営者の公募に踏み切っていいというのが結論です。プロのおひとりから「大学らしい素晴らしい考えだ。それにこたえる志を持った経営者が現れるのを待つのですよ」と励まされもしました。
学生たちが森のカフェで食事をする。思いつきの背後にある夢(理念)が事業に参加する人の夢と呼応する。カフェの持 続性は夢の共有に支えられていることを学びました。4月、陽光の森に、学生たちのさんざめきが聞こえる日を待ちます。
