現場から出発する「SD」
「職員の能力開発」
FDとは「教授能力の開発」の略語です。それを行うのに本学では全学の授業を公開し、授業の組み立てについて、教員が相互に意見を交換しながら、教授能力を高めるという活動をしてきました。つまり授業の現場から出発するという方法をとりました。
教員の教授能力と並んで大学の運営に大切なのは、事務職員の能力です。その能力開発の略語がSDです。大学経営の厳しさが続く中で、どの大学もSDに注目し、努力をしています。
本学も遅きに失する事態が生じないうちに、SDに真剣に取り組む必要があります。FDと同じようにSDも、内外の研修会に出て勉強する、あるいは関係の本を読んで得た知識を導入する方法では確かな効果を生まない、とわたくしは考えています。事務が行われる現場を見つめることから始めないと、何を学べばよいのか分からないからです。
一例をあげるとわたくしのところに毎日上がってくる「原議書」(稟議書)です。この「原議書」は起案者の印鑑に始まり、10前後の印鑑が連なっている場合がよくあります。しかし内容からみて、それほど多くの人の点検・精査は不必要な場合が多いのです。それなのになぜ印鑑が並ぶのでしょう。印鑑は押すためにあるのだからでしょうか。
多くの時間が何も価値を生まないで、印鑑を押す前に回ってきた稟議書を読む(あるいは読まない)、そして印鑑を押した文書を次の人に届けるために、使われている。またそのためにかえって職員の能力形成が「遅らされて」いる。そんな気がしてなりません。
そこで本学はこの現場の職務そのものを調査・分析から出発する委員会(SD基本構想委員会)を設けるつもりです。隗より始めよという精神です。
委員会はまず部課において事務職員が担当する職務および職務の連結・管理の実態を調査・分析します(職務分析)。この調査・分析を土台に、次は、部課で職務遂行を効率的にするためのシステム(仕事の仕方)と能力形成のあり方を研究しなければなりません。
委員会にはこのほかに、人事異動(部課内異動および部課間異動)のあり方、役職期間限定の是非、仕事に対する自己目標の設定とその評価システム(人事考課システムと能力開発)、採用人事のあり方など、重要な問題に対する解も提案してもらいます。
委員は職務に通じた中堅・若手の職員9人に、学長のわたくしが委嘱しようと思います。中堅・若手の委員会にしたのは、大学の将来をいちばん長く担う職員がSDに情熱を持ち、調査・分析という困難な作業を担える体力があるからです。委員会による調査・分析には全職員の協力が不可欠であることを理解してください。わたくしは委員にはなりませんが、委員会の応援団長になる覚悟でいます。
