構想実現へ、市民の参加も
宝の森Ⅱ
前号の「みなみ風」で経塚の森(こくさいの森)について書きました。森の息吹をそのままにとどめながら、わたくしたちがこころを遊ばせる空間として活用
する。例えば自然主義派の画家たちが好んで描いたように、森の小道をぬけてひろがる広場で、妖精たちが笛を吹き唄い踊る、あるいは羊飼いがまどろむ。その
ような風景をつくれないか。
その後十数名の人たちに、幻のようなアイデアを聞いてもらい、意見をききました。
驚いたことに全部の人たちが「いいですね!」という意見でした。もちろん大学の教員・職員もそのなかにはいっています。そのほかに学外で仕事をする人たちも含まれます。
会話の礼儀として、あるいは夢幻(ゆめまぼろし)のたぐいのはなしだから、「いいですね!」といわれたのではないようです。そのことばと表情にはわたくしと同じぐらい強いこころの動きがうかがえました。
ある人は森のたたずまいを多角的にとらえた写真をそえ、森を生かすいろいろな工夫を提案してくれました。またある人たちは、森が自然のままで文化の空間になる、そういうところが市内にあればいいですね、という意見でした。
どなたもハコモノ文化でもなければ公園文化でもない、森という空間の文化があってしかるべきだという考えのようです。
経塚の森が鹿児島国際大学の大切な資源・財産であるという思いは、こうしていっそう強くなりました。これを構想として実らせるために、市民の中からボランティアを募ることを考えています。
参加していただきたいのは、森を表現活動の舞台(装置)として演出するアーティスト、文化の装置として森を考える造園設計家、森に対する社会的ニーズを
知っている人、森の生態に明るい研究者、(椅子という人工物のない)「劇場」の観客席を四季ごとに群生する草花の野原として作りたい人たちなどです。本学
の学生を含めて、わたくしたちも市民です。夢を実現する構想作りを支援してください。
キャンパスに桜の咲く4月、このボランティア・グループの最初のミーティングができればと願います。おそらくこの日は、経塚の森を上から下へ、下から上へと歩き回ることになるでしょう。
ところで本学の教職員で、経塚の森を歩いたことがないという人は意外にたくさんいます。忙しくて講義が終わったらすぐ帰るから、とある先生からうかがったこともあります。経塚の森を歩き、あるときは草原に寝転んで思索をこらす。あるときはバケットと牛乳(ほんとうはワインがいい)を持って草原の昼食をたのしむ。そういう空間としてもわたくしたちの大切な森です。
