地域と世界を結ぶ土台に
同窓会の新事業
本学の前身は鹿児島高等商業学校です。1932年、津曲貞助先生によって創立された、九州で初めての「商経の私学」です。設立の理念は、南九州に産業を興す人材を育てることにありました。
卒業生の数は現在3万を超え、南九州はもとより国の内外にわたる多くの分野で活躍されています。同窓会はこの秋に、創立70周年記念総会を開きます(大学は一昨年の秋、創立70周年を祝いました)。
津曲先生の理念はいま、あたらしい関心で再評価すべきです。70余年を経過したのですから、いうまでもなくいろいろな変化が社会にありました。
今わたくしたちの社会が直面している変化は、
①少子・高齢化の急速な進行
②国と地方の税財政システムの行き詰まり(700兆円におよぶ国と地方の借金経営)
③資源・情報の国際的な移動―です。
これらは70余年のあいだ体験したことのない、あるいはそのあいだに累積されて現れた構造的な問題です。そしていずれも地域が地域の力で、自助的に解決しなければならない大きな課題です。したがって地域に産業を興すという理念は、その当時にもまして、重要な意義をもっています(産業は福祉、自治体活動などを含む広い意味です)。
来年春から地域創生学科を開設するのも、より発展した形で、地域に事業を興す人材を育てたいと考えるからです。
同窓会は70周年の記念事業として外国人留学生支援事業を計画しておられます。これはたいへん意義深い事業です。
人を含む資源や情報の国際化は急速に進行しています。この環境からわかるように、世界はいまや地域の集合体として認識しなければなりません。いいかえれば、地域は国や自治体を通して世界に結ばれるという国際化ではなく、地域が外国の地域と直接結ばれる、それが可能な時代にわたくしたちは生きています。
いま中国とビジネスしています―。このような国際的活動を「日常」にしてしまう展望と能力をもった青年たちを育てたい。地域創生学科の目的のひとつはここにあります。
同窓会の新事業で外国人留学生が増えると、わたくしたちは留学生を友人として学生生活しながら、地域と地域、あるいは人と人のレベルで国際化をつくる土台ができることでしょう。また事業で活躍している卒業生にとっては、将来外国における事業の展開に必要な人材を育てることになります。
同窓会は戦前、母校の研究を援助する研究誌の発刊を助成しました。このように地道で持続的な成果を見通したその識見に、敬意を表します。
