韓国で日韓合同考古学学会/伽耶文化の世界を歩く
本学研究者の書籍も会場に
国際文化学部教授・上村俊雄
第8回九州考古学会・嶺南考古学会合同学会が8月下旬、韓国・慶州の慶州教育会館で行われた。この学会は2年ごとに九州と韓国で交互に開催されている。
出発前は、日韓が互いに領有権を主張する竹島(韓国名・独島)の中学校学習指導要領の解説書への記述をめぐる問題から、各方面で多くのイベント・交流事業が中止される事態となっていた。反日感情の高まりで学会が中止されるのではと心配していたが、盛大な歓迎を受け、懇親会に引き続き、二次会・三次会と何時果てるともなく交流の場が盛り上がった。
8月23、24日は弥生・古墳時代を中心に日韓双方から研究発表や調査報告などがあり、熱心に質疑応答が交わされた。会場には本学国際文化学部の太田秀春先生の『朝鮮の役と日朝城郭史の研究』と実習センター助手の鐘ヶ江賢二氏の『胎土分析からみた九州弥生土器文化の研究』の海賊版が韓国の出版社によって販売されており、韓国の研究者が買い求めていた。両氏の研究が韓国の学会でも評価されていることの証であろう。
8月25日は (1)高霊池山洞古墳群73号墳 (2)大伽耶博物館 (3)陝川海印寺(ユネスコ世界遺産) (4)嶺南文化財研究院慶州事務所(青銅器・瓦質土器等の出土遺物)等の現地見学を行った。この中で特に関心を抱いたのは、前日の学会で報告された高霊池山洞古墳群73号墳と大伽耶博物館に展示されていた夜光貝製貝匙である。
高霊池山洞古墳群は大伽耶時代の王墓が所在するところである。石槨式古墳の概要については、前日報告されていたので、現地での説明は非常に理解しやすかった。高霊を中心に製作された伽耶系の須恵器は鹿児島県内にも出土している。本場の伽耶式土器を詳細に観察できたことは大きな収穫であった。
また、高霊池山洞古墳群から出土した夜光貝製貝匙の製作遺跡は奄美大島・沖縄諸島にのみに発見されているものである。5世紀代後半に南島との交流が行われていたことを証明する貴重な発見例である。
